乳腺外科

難治性乳がんの克服への挑戦

当科の診療の柱である乳がんは女性が罹患する最も多いがんです。また近年,その罹患率・死亡率に増加傾向にあります。わたくし達は、科学的妥当性や合理性に基づいた最先端の治療の提供を目指しています。
形成外科・放射線治療科・ゲノム医療センターと連携して乳がん診療チームを結成し、年間総手術件数は約400件と関西屈指の症例数を達成しております。とくにトリプルネガティブ乳がんや転移・再発乳がんなどの難治性乳がんの診療拠点となっています。
「乳腺・内分泌外科」は、2022年4月より「乳腺外科」へ名称変更となりました。乳がん診療に特化することで、より質の高いハイレベルな医療の提供を行ってまいります。

主な対象疾患

※ がん診療拠点病院としての診療の提供 『乳がん地域連携パス』

当院は『地域がん診療拠点病院』として指定を受けており、他の拠点病院や地域の病院・診療所と相互に連携し、地域におけるがん治療水準の向上に努めております。
また地域の先生方とともにがん診療に取り組めるように『乳がん術後連携パス』を活用しており、これまで1200件を超える患者さまの連携を行いました。

大阪府がん診療地域連携パス
大阪府がん診療地域連携パス
女性に優しい診療を目指して

当院では女性医師も外来診療に携わっております (女性乳腺専門医)、女性の視点から患者さまに寄り添い、同性だからこその心の通った診療を目指しています。

女性乳腺専門医
女性乳腺専門医
外来担当表
森崎 ★ 藪本 高田 後藤 柏木
荻澤 ★

★ 女性乳腺専門医

遺伝性乳がんに対する遺伝子カウンセリング

乳がんの5~10 %は、乳がんの発症に強く関わる特定の遺伝子変化をもつ遺伝性乳がんと考えられています。当院では遺伝性乳がんに積極的に取り組み、遺伝子カウンセリングに対応しています。ゲノム医療センターにおいて、遺伝専門の医師・遺伝子カウンセラーが専門性の高い診療を行っております。

診療・研究・教育機関としての使命

大学病院の使命は、高度な水準での診療・研究・教育です。わたくし達は、科学的妥当性や合理性に裏打ちされた乳がん診療を目指しております。『トランスレーショナルリサーチ (TR) 』とは、分子生物学などの基礎研究を実臨床に応用 (translate) するための研究です。 現在、“トリプルネガティブ乳癌をはじめとする難治性乳癌の克服” を教室の使命と掲げて、実臨床に生かせる基礎研究を推進しています。国際的に高い評価をいただいており、質の高い研究と臨床の実践の場となっております。

日本乳癌学会 研究奨励賞
日本乳癌学会 研究奨励賞
Global Breast Cancer Conference 2013
Global Breast Cancer Conference 2013
乳がん手術件数の推移

乳腺内分泌外科から「乳腺外科」専門に特化し、手術件数は増加中です。今後より多くの患者さまの治療に携わってまいります。

大阪乳癌研究トランスレーショナル研究グループ

Osaka Breast Cancer Translational Research Group, OBCTRG

私たちは基礎研究・臨床試験・橋渡し研究などを通じて、乳がんにおける新たな知見の解明に真摯に取り組んでいます (2018年4月~)。

代表:柏木伸一郎
理事:森崎珠実, 荻澤佳奈, 田内幸枝, 後藤 航, 浅野有香

研究課題
  • 『免疫応答から捉えたトリプルネガティブ乳癌における全身反応および微小環境変化の検証』(文部科学省科学研究費補助金 基盤研究C 20K08938)
  • 『トリプルネガティブ乳癌の悪性形質獲得に関わる微小環境制御の臨床的検証』 (文部科学省科学研究費補助金 基盤研究C 17K10559)
  • 『トリプルネガティブ乳癌におけるEカドヘリン発現の分子機構の解明および臨床的意義』 (文部科学省科学研究費補助金 基盤研究C 26461957)
  • 『腫瘍血管内皮細胞の革新的分離法の確立とそれを標的とした新規血管新生阻害療法の開発』 (文部科学省科学研究費補助金 基盤研究C 19K09054)
  • 『アンドロゲン受容体陽性トリプルネガティブ乳癌における新たな治療戦略の検証』 (文部科学省科学研究費補助金 研究活動スタート支援 17H07023)
  • 『アンドロゲンシグナリングから捉えたCDK4/6阻害剤による新たな乳癌治療戦略』 (文部科学省科学研究費補助金 若手研究 19K18038)
  • 『エリブリンにおける腫瘍微小環境制御による新たな乳癌治療戦略』 (文部科学省科学研究費補助金 若手研究 19K18046)
  • 『脂質コントロールにより変化する腫瘍免疫微小環境を標的とした新たな乳癌治療開発』 (文部科学省科学研究費補助金 若手研究 22K16468)
  • 『血中microRNAの推移に基づく乳がん免疫編集過程の評価と発癌リスク解析』 (文部科学省科学研究費補助金 若手研究 22K17351)
  • 『再発乳癌における微小環境変化および不均一性の検証』 (文部科学省科学研究費補助金 若手研究 19K18067)
  • 『乳癌における癌幹細胞関連因子の関与』 (文部科学省科学研究費補助金 若手研究B 17K13225)
臨床試験
  • OBCTRG-01 『乳癌内分泌療法に起因する毛髪トラブルに対するヘアケアの重要性を検証する多機関前向き研究』
  • OBCTRG-02 『固形癌に伴う DIC に対する多施設前向きコホート研究』
  • OBCTRG-03 『ホルモン受容体陽性切除不能または再発乳癌に対するCDK4/6 阻害剤の順次投与におけるエリブリンによるメンテナンス療法の有用性を探索する多期間前向き研究』
  • OBCTRG-04 『BRCA病的変異を有する早期トリプルネガティブ乳癌対するペルツズマブによる術前免疫療法後にオラパリブによる術後補助療法の有用性を検討する多機関前向き研究 』
  • OBCTRG-05 『乳癌術前化学療法における臨床的腋窩リンパ節転移消失例に対する標的腋窩リンパ節マネージメントの探索的研究』