大阪市立大学大学院医学研究科 脳神経外科学教室
診察している主な病気
ホーム > 診療について(遺伝子解析研究の協力について)

中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)に関する遺伝子解析研究の協力について

1. はじめに

この文書は、あなたに、遺伝子研究への協力をお願いしたく、病気と遺伝子との関係、研究内容などについて説明したものです。この文書をよくご理解いただいた上で、あなたが研究協力に同意していただけるかどうかご検討をお願い致します。

2. 遺伝子とは何か? 遺伝子と病気に関する一般的な解説

私たちヒトの体は、約60兆個の細胞からなりたっています。その細胞の中には、染色体と呼ばれるDNAでできた非常に長いひも状の物質が、折り畳まれています。この染色体には,いろんな蛋白質を作る設計図がかきこまれていて、これを遺伝子といいます。我々が、ヒトであるのは、この遺伝子に命令されてできる蛋白質がヒトの蛋白質であるからといっても言い過ぎではありません。もちろん、人格も含め人間形成には遺伝子の他に、その人が育った環境から多くの影響を受けると考えられます。しかし、遺伝子が、その生物のあり方を決める大事な物質であることに違いはありません。いまでは、それらの設計図にかかれてある命令のほとんどが解明され、ヒトでは、約3-4万種類の遺伝子があり、それに相当する蛋白質がからだのいろんな場所でつくられていることがわかっています。蛋白質はからだをつくるだけでなく、私たちが物を見たり、考えたり、食べ物を食べたり、運動したりするために必要な様々な反応を進めるためにも必要です。したがって、遺伝子という設計図に変化がおこると蛋白質も変化し、私たちの体の働きに変化がおこります。もし、その変化が私たちの活動に支障を及ばさない場合、それらは、個性とよばれる個人の違いとしてあらわるかもしれません。しかし、私たちの生命活動に支障を及ぼす場合、遺伝子の変化は病気の素因、あるいは直接的な原因となることがあります。このような遺伝子は父母からそれぞれ半分ずつ子供へ伝わります。したがって、変化した遺伝子も同様に、子供に受け継がれる可能性があります。遺伝病や病気の素因が遺伝する場合があるのはそのためです。現在私たちは、私たちを悩ます疾患とその原因や素因になる遺伝子の変化について研究し、将来私たち、あるいは私たちの子孫が、各人の遺伝子から予測できる疾患を予防したり、個人の性質にあった薬剤を投与したりするなど、より適切な治療が受けられるようにしたいと考えています。

3. あなたへの遺伝子研究協力のお願い

この研究は、遺伝子の作りや働き具合を調べ、今回あなたがかかった中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)という病気が、どのようにして発生したのかを調べます。中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)の発症、病状の進行に伴い、いろいろな染色体や遺伝子の変化が生じることが知られていますが、どのような変化がこの病気にかかわっているか、まだ詳細は不明です。腫瘍細胞の染色体や遺伝子異常を調べて、病気の原因を突き止めようとしています。しかし、病気の原因遺伝子が確実にわかるとは限りません。はっきりとした結果が得られない場合には、より診断技術を向上させ、新しく原因となる遺伝子を探し出すなどの努力を続けていきます。

あなたは、中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)にかかっているので、手術によって取り出された腫瘍組織の一部を診療記録とともにこの研究に利用させていただきたいのです。また。手術は病気を治すために行うものですが、取り出した病気によって異常を生じた組織の一部、あるいは手術のために一緒に取り出さざる得ない正常な組織の一部で、診療のための分析には不要な部分を研究に利用する場合もあります。

具体的には、まず、あなたにこの研究への協力をお願いするため、研究の内容を含め、あなたが同意するための手続きについて説明を行います。あなたがこの説明をよく理解でき、あなたが研究に協力して組織の一部を提供することに同意しても良いと考える場合には、「遺伝子解析研究への協力の同意書」に署名することにより同意の表明をお願いいたします。

4. 研究への同意

この研究への協力の同意はあなたの自由意志で決めて下さい。全く強制は致しません。同意されてなくても、あなたが不利益を被ることは一切ありません。また、一旦同意された場合でも、あなたが不利益を受けることなく、文書でいつでも同意を取り消すことができます。その場合は採取した組織の遺伝子を調べた結果などは廃棄され、診療記録などもそれ以降は研究目的に用いられることはありません。ただし、同意を取り消されたとき、すでに研究結果が論文などに公表されていた場合などは、遺伝子を調べた結果などを廃棄することができません。

5. あなたが選ばれた理由

あなたがこの研究の試料提供者として選ばれたのは、あなたが大阪市立大学医学部附属病院で、中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)と診断されたからです。あなた自身の病状や年齢、性別および家族等とはいっさい関係はありません。

6. 研究計画について

研究計画は以下の通りです。

研究題目:中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)の発生、浸潤における遺伝子異常の解析

研究機関名 職名 研究責任者氏名
大阪市立大学 大学院医学研究科 脳神経外科学 講師 宇田 武弘

研究の意義・目的:この研究は病変組織などから取り出した染色体を比較検討することよって、中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)を発病した原因遺伝子を調べようとするものです。

研究方法:この病気の治療のための手術を受ける際に、手術によって取り出された腫瘍の一部を使用します。この場合は、手術によって取り出されたあとの組織を用いますから、研究にともなう身体の危険性は全くありません。これらの組織に含まれるDNAという物質を取り出し調べることにより、病変に関わる遺伝子の異常を調べます。この遺伝子が他の人とどのように違うかを調べ、さらにあなたの症状との関係を調べます。 また、この研究のために使われるあなたの病気や体の様子、生活の様子についての情報や血液などは、医学の発展にともなって将来計画される別の研究に関連する遺伝子や薬剤の反応に関連する遺伝子の研究のためにもできましたら使わせていただけるようお願いいたします。

研究期間:承認後〜2027年3月31日 

7. 研究計画等の開示

あなたの希望があれば、他の患者さまの情報が保護され、研究の独創性の確保に支障が生じない範囲内で研究計画及び方法について資料を入手し、閲覧していただくことも可能です。

8. 試料提供者にとっての利益および不利益

遺伝子診断はまだ開発の途上にあり、診断の有効性を確かめるため、また精度を上げていくためには多くの症例を集め研究を続ける必要があります。したがってこの研究の結果が、直ちにあなたに有益な情報をもたらす可能性はほとんどありません。しかし、このような研究の成果は今後の医学の発展に寄与するもので、将来、中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)の診断や予防・治療などがより効果的に行われるようになる可能性が期待されます。病変組織を内視鏡検査の方法で3mm角ほど切取しますが、いずれも中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)の診断や病状の治療のために手術時に得られる検体であり、特に新たな危険が加わるものではありません。また、遺伝子を調べた結果から病気の原因あるいは、その体質があると診断された場合、就職・結婚・保険への加入などに関して現時点では予測できないような不利益をこうむる可能性も否定できません。しかし、あなたの個人情報はヒトゲノム・遺伝子解析研究個人情報管理委員会に所属する個人情報管理責任者により匿名化され、管理されますので、だれの試料かはわからなくなり情報が漏れることはありません。

9.利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わり

研究費の支出については、大阪市立大学の財務会計システムで管理されております。本研究の利害関係については、大阪市立大学利益相反マネジメント委員会の承認を得ております。また、必要に応じて、当該研究(試験)経過を大阪市立大学利益相反マネジメント委員会へ報告等行うことにより、本研究(試験)の利害関係についての公正性を保ちます。

10. 個人情報の保護

あなたの腫瘍などの試料を用いた研究により明らかとなった遺伝情報および個人情報は、決して外部に漏れることがないように責任をもって厳重に管理致します。腫瘍の試料は、研究を始める前に、住所、氏名、生年月日などを削り、無作為な数字だけをつけて誰の試料か分からないようにします。したがって、あなたの試料であることは、研究者を含め、だれにも分からなくなります。あなたの試料に付けられた番号は大阪市立大学大学院医学研究科に設置されたヒトゲノム・遺伝子解析研究個人情報管理委員会に属する個人情報管理者によって、責任をもって厳重に管理されます。ただし、遺伝子解析の結果についてあなたに説明することが必要な場合には、個人情報管理者によってこの番号をあなたの氏名などに戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることが可能になります。

11. 代諾者の設定

試料等提供者が死亡等により本人の意志の確認ができない場合で、かつそれらの事象発生前に示した意志に反していない場合、近親者、または親しく生活を共にした者を代諾者として選定する。

12. 試料、遺伝情報などの他機関への提供

あなたの腫瘍組織試料は、大阪市立大学大学院医学研究科ヒトゲノム個人情報管理委員会により、連結可能匿名化され、共同研究機関であるオハイオ大学に診療情報とともに移される場合もあります。あなたの名前や生年月日、住所などの個人情報は、移されません。オハイオ大学で遺伝子が解析された後も、試料は保存されます。保存された試料について、中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)に関連した遺伝子研究にさらに使用する場合は、大阪市立大学医学研究科倫理委員会に再申請された上、関連していると判断されれば、連結可能匿名化された(個人情報がわからない)状態で、関連遺伝子の解析に使用されます。
 遺伝子

13. 研究の一部を委託する場合の匿名化

あなたの腫瘍などの試料は、オハイオ大学に提供し、中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)の発症とその発生に関係があるといわれている多くの遺伝子との関係など専門的な研究を委託します。このとき、あなたの腫瘍組織に関しては、ランダムな番号をつけることにより、誰のものであるかだれにもわからないようにして提供します。

14. 遺伝子解析結果の個人への開示について

一般にヒトゲノム・遺伝子解析研究に関してあなたが自ら遺伝情報の開示を希望される場合は、原則として開示することになっています。ただし、この研究は多くの方々からの遺伝情報を比較することにより中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)と遺伝子の関連を明らかにしようとするもので、あなたの健康状態を評価するための精度や確実性に欠けており、すぐにあなたに有益な結果が得られるといった可能性はほとんどありません。したがって、あなたを含め誰にもあなた個人の遺伝情報についてはお知らせすることはありません。このような研究の成果は将来の医学の発展に貢献するものであることをご理解下さい。研究の進み具合やその成果については、あなたの求めに応じ、分かりやすくご説明いたします。

15. 提供者の代わりに試料等の提供に同意する場合の特例

あなたが未成年者の提供者である場合には、基本的に、親権者の求めに応じて、親権者にのみ遺伝子を調べた結果を説明します。この場合にあっては、あなたの意向を確認し、それを尊重します。また、あなたが明確に説明を希望している場合は、基本的に、あなたに説明をします。この場合にあっては、親権者の意向を確認し、これを尊重します。ただし、いずれの場合にあっても、提供者が遺伝子を調べた結果について説明されず、成人後にその説明を希望する場合にあっては、検体採取後5年以内であれば、親権者の承諾理由や必要性に応じて判断させていただきます。

16. 研究から生じる知的財産権の帰属

遺伝子解析研究の結果として特許権などが生じる可能性がありますが、その権利は、大阪市立大学大学院医学科研究科と研究遂行者に属し、あなたには属しません。また。その特許権などをもととして経済的利益が生じる可能性がありますが、あなたはこれについて権利はありません。

17. 遺伝子解析研究終了後の試料等の取扱の方針

あなたの組織などの試料は、原則として本研究のために用いさせていただきます。しかし、もし、あなたが、同意してくだされば、将来の研究のための貴重な資源として、研究終了後も保管させていただきたいと思います。この場合も、分析を行う研究者にはだれの試料かが分からないようにした上で、試料が使い切られるまで保管します。試料を新たな研究に用いる場合は、改めてその研究計画書を倫理審査委員会において承認を受けた上で利用します。

18. 研究成果の公表

あなたの協力によって得られた研究の成果は、提供者本人やその家族の氏名など明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌およびデータベース等で公に発表されることがあります。

19. 研究資金の調達法

この研究に対する資金は、研究費から支払われることになっています。

20. 費用負担に関する事項

ここで行われる遺伝子解析研究に必要な費用は、あなたが負担することはありません。また、交通費や謝礼金などの支給もありません。

21. 遺伝カウンセリング

この研究計画では、中枢神経系腫瘍(脳腫瘍・脊髄腫瘍)に関する多因子の遺伝子多型との集団的な統計解析を行いますので、あなたの病気との直接の関係を検討するには、まだ多くの研究が必要であり、原則的には、遺伝カウンセリングは行いません。しかし、特に、あなたの希望が強く、研究責任者もその必要を認めた場合、専門の医師による遺伝カウンセリングを受けることができます。

22. 問い合わせ、苦情などの窓口の連絡先

この研究計画と研究協力に関して疑問、苦情などがある場合は、下記の窓口までご連絡下さい。
大阪市立大学大学院脳神経外科学
研究責任者 宇田 武弘
  • TEL:06-6645-3846 (脳神経外科医局)
  • E-mail: neurosurgery@med.osaka-cu.ac.jp